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原発は環境にやさしい、って宣伝してたよね [持続可能性]

環境にやさしい姿勢が企業イメージを高めるのに欠かせない時代になってきた今日では、
実際にはエコではないにもかかわらず、そうであるかのように思わせる宣伝があちこちに
あふれかえっています。

これらの宣伝の多くは、その商品やシステムの持つ、ある一面にのみ注目を集め、
その点から環境負荷の少なさをアピールしようとします。
実際にはそれ以外の側面があるので、システム全体として環境負荷が小さいかどうかは
慎重に判断しなければいけません。

分かりやすい例が、原子力発電は発電時に二酸化炭素を排出しないから環境負荷が小さい、
として、震災が起こるまで政府や企業が盛んに行っていた宣伝です。
地球温暖化防止のために二酸化炭素排出量を減らすには、化石燃料を利用する火力発電を減らし、
原子力発電の比率を高めなければならない、とされてきました。

原子力発電の発電時の二酸化炭素排出量が少ないのはその通りですが、その代わりに
環境中に放出することのできない高い毒性を持つ放射性廃棄物が蓄積されていきます。
1万年を超えるような長期間の隔離を必要とするような放射性廃棄物が生じるということは
将来にわたって続く、大きな環境負荷リスクを抱えることだと思いますが、
二酸化炭素排出量が少ないという利点を持っていたために、原子力発電を推進したいと
考えていた組織等はその利点を前面に出して、エコであるとアピールしてきました。

実際にはどのような発電方法も環境負荷を与えます。
それは再生可能エネルギーである太陽光発電や風力発電でも同じです。
より環境負荷の少ない方法を選ぶことは大切ですが、エネルギーの大量消費をそのままにして、
ある方法に移行すればエコだ、などと言うことはありえないのです。

地球温暖化の問題にしても、脱原発の話にしても、対策の基本はエネルギー消費を減らすことです。
当然そういう方向の動きも続いていますが、二酸化炭素の問題が注目されると
原発を増やせばいいという議論になってしまいがちでした。
現在は放射能による環境汚染の問題が注目を集めているため、地球温暖化の問題はかすんで見えます。
しかし、原子力をやめて火力を増やせばいい、と単純に考えたのでは何も変わりません。

考えるべきはエネルギーや資源を大量に消費して欲望の開放を行ってきた
現代文明社会のあり方そのものなのだと思います。

人類の欲望は進歩の元であり、それを抑制することなんかできない、と考える向きもあるでしょう。
個人の自由を抑圧するような社会はとんでもないと思う人もいるでしょう。
それらの考えを全否定するつもりはないのですが、一方で様々な知識を集積し、それを次の
進歩に生かし続けてきたのも人類の大きな特徴でしょう。
現状のようなやりかたが自らを滅ぼすと理解すれば、社会のあり方を転換していく力を
私たちは持っている。そこに希望を見出したいと思うのです。

さて、エコっぽいけどそうではないものの話をしようと思ったのですが、ちょっと方向が
それてしまったので、次回あらためて書いてみたいと思います。


持続可能性のための省エネルギー ~いつもよりちょっと深い話を~ [持続可能性]

このブログでは省エネをテーマにしています。

もうちょっと深く言えば、持続可能性を追求することがメインテーマなのですが、持続可能性のために大切なこと、という意味で省エネをテーマにしています。

産業革命以来の約250年間、人類は様々なエネルギー資源を開発し、それを豊富に使用することで快適で利便性の高い生活、社会を実現してきました。快適な社会を実現することは望ましいことですが、そのために使われるエネルギーは多くが地下資源の採掘により得られます。地下資源は物質であり、物質からエネルギーを取り出すと、その物質は別のものに変わります。化石燃料を燃やして二酸化炭素が生じたり、原発の運転で放射性物質が生まれたりするのは、物質からエネルギーを取り出したことの必然的な帰結なのです。

すると何が起こるでしょうか?
ちょっと考えれば誰でもわかるけど、普段はみんなが忘れている事実。
それはエネルギー資源として使える物質がやがてなくなってしまうということと、一方で不要な廃棄物がどんどん増えてしまうということです。

地球温暖化とは、化石燃料からエネルギーを取り出した時に生じる廃棄物(二酸化炭素)の量が多すぎるために起きる問題です。原発で一番厄介なのは、核分裂によってエネルギーを取り出した時に生じる廃棄物(放射性廃棄物)が高い毒性を持つために、これを長期間隔離しなければならないという問題です。いずれも廃棄物の問題であり、その一方で化石燃料も核燃料もそう遠くない将来に資源が枯渇するという問題を抱えています。

これらの問題はいずれも人類社会の持続可能性にとって障害となるものですが、問題の本質は地下資源からエネルギーを得ているというところにあります。したがって、本質的な解決のためには、エネルギーを地下資源(ストック)から得るやり方から、別のやり方に変えなければなりません。別のやり方とは、太陽を源として私たちのまわりを流れているフローとしてのエネルギーを利用するというやり方です。これは一般に再生可能エネルギーと言われているもので、太陽光、太陽熱、風力、水力、バイオマスなどが該当します。

ところが、原発推進論を張る人々が言うように、これらの再生可能エネルギーをかき集めても、今日のエネルギー消費を賄うのはなかなか困難です。その理由はこれらの再生可能エネルギーの多くがとても「薄い」ためで、これを集めて電気や燃料のような「濃い」エネルギーにするには膨大な量を集めないといけないのです。

このことをして「再生可能エネルギーは実力がない」というような言い方をする人がいますが、これは論の立て方が間違っていると私は思います。正しくは「私たちは持続可能性から導かれる実力以上にエネルギーを消費している」と言うべきなのです。したがって、再生可能エネルギーを推進するとともに、エネルギーの消費量をもっと少なくすることが肝心です。エネルギーの消費量を減らすには昔の生活に戻ればいいのですが、これはなかなか困難でしょう。

そこで、省エネが必要になる訳です。省エネで大切なのはエネルギーの利用効率を上げていくことで、そうすると同じ生活水準を保ちながらも、エネルギー消費量を減らすことが可能になります。もちろん、我慢することも重要で、必要以上に贅沢になってしまったものはあきらめることも必要でしょう。

このような考え方に疑問を感じる人もいるでしょうし、ある程度納得しても「そうは言っても」と思う人もいるでしょう。しかし、現在の人々の快適な生活のために、後世の人々が大きな被害をこうむるのは、世代間倫理としておかしいと私は思います。なかなか想像するのが困難なこともあって正面から問題とされることは少ないのですが、多くの人々に想像力の翼を広げてほしいと考えています。

「未来の子供たちのために、持続可能な社会を実現しよう!」
共感してくれる人が増えることを願っています。

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